ハクモクレン再び(5/12)


退屈な時間が過ぎた。
他の参加者は疲労のせいでずっと横になっていた。
フランチェスだけが、荷物から本を取り出して読んでいた。
僕はひざを抱えながら、そんなフランチェスカを見ることなしに眺めていた。
でも、きっと強烈に見つめていたんだと思う。
それが僕の癖だった。いつのまにか取り付いた・・・

フランチェスカは軽やかに立って僕の隣に座った。
手足の長い子だなとぼんやり思った。
ただ発育はそんなに良くない。
一五歳にしては胸も小さすぎる。まだ、子供なんだと思った。
だけど、行きがかり上僕らのリーダーだ。

「どうしてそんなに見つめるの?」とフランチェスカが聞いてきた。
僕は我に返った。目だけが画面を捕らえ意識だけが何処かに行っていた。

「特に理由はないよ」と僕は言った。
「だだ、ここは何処なんだろうと思っていただけだよ。
昨日までは地中海にいた。その前はフランスだ。
でも、ここが何処だったのか思い出せないでいたんだ」

「ここは砂漠よ。砂漠の真ん中。閉ざされた世界なの。
夜が明けるまで誰も助けになんて来やしないわ。
夜は不吉なのよ。ここの住人たちは夜を恐れているの。
でも奇麗よ。月明かりの夜は」

フランチェスカは僕の手を引いてテントの外に連れ出した。
いつのまにか砂嵐は収まり、月明かりが砂漠を照らしていた。
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by haru_ki_0207 | 2007-05-10 23:01 | ハクモクレンの花  

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