等身大で生きる

僕の実家は小さな町で靴屋を営んでいた。
父と母だけの小さな店だった。

いつだったか母と通りを歩いていると、
前を歩いてるおばさんの足元を見ながら
「あの靴はうちの靴よ」と母が言った。

たぶん、そうなのだろう。
あの足の太ったおばさんの履いている靴は、父が遠くの街まで行って仕入れて来て、
店頭に並び、母が接客をし、いくらか値切られ、最後に掛けで買われた靴なのだろう。

「全部わかるの?」まだ幼い僕は聞いた。
「ええ、全部わかるわよ。ほら、あの人の靴、先月売ったのよ。
もう、あんなに傷つけちゃって、いやあねぇ」

僕は、随分遠いところまで来てしまったけど、
生きるというのは、こう言うことなのだと、最近になって思い始めているのです。
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by haru_ki_0207 | 2005-11-16 22:53 | 雑記  

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