生き続ける理由。

 世の中には生きるために必要なものと生き続けるために必要なものとがある。
生きるために必要なものは、言うまでもない事だが衣食住である。これがないと、明日まで生きれない。
毎日必要で、世の中の産業はこの生態系で大方成り立っている。
農業があって流通産業があり外食産業がある。その間にもニッチな産業が限りなく存在する。
ちょっと考えただけでもあまりの複雑さに頭が痛たくなってしまう。
ただ、僕が求めているのはそういうものじゃない。生き続けるために必要な物の事だ。
僕が明日も生きる理由。動機。明後日も存在する意義。
そして、それを支える強烈な何か。生き続けるために必要なもの。


 僕は時々、このまま目が覚めなくても別に困らないと思う。
今まで好きに生きてきたし、欲しい物は大抵手に入れてきた。
本当に欲しいもは決して手に入らなかったけど。
そりゃ、仕事をしてるんだから、最初の一月はみんな困るかもしれない。
ただ、代わりの人間なんてごまんといる。
総理大臣だって交換可能な国なんだ。僕一人抜けたって何も変わりはしない。


 にもかかわらず、僕は朝、目が覚めてしまう。
無意識のうちにコーヒーを作り、目覚ましテレビの早耳セブンに出てくる女の子の足に目を奪われる。
生きてるなんて意識せずに、駅に向かう。いつもの道をいつもの時間に。

 
 たとえばそれが、女の子だったとしよう。僕が明日目覚める理由が、一人の女の子とデートする事。
若い時はそれも有りかもしれない。事実僕は初めて女の子を自分の部屋に招待した時、
彼女がうなずいてからの数日間、その日の為だけに、彼女が僕の部屋の中に入る瞬間の為だけに生きる事が出来たんだ。
もちろん今は、そんなことは出来ない。女の子とのデートの為だけに生きることは出来ないんだ。
僕は多くのものを知り過ぎたし、多くのものを失い過ぎた。
女の子とのデートの日までにやらなくてはならないことが山ほどあって、
時としてそのせいで、デートがキャンセルになることだって有り得る。


 人によっては、生き甲斐のある仕事だったりするのかもしれない。
たとえば、画家だったり作家だったりピアニストだったりする。生き続ける理由を持った人達。
ただそういう人は、突然死んでしまう。自らの命を絶って。生きる理由が突然消えたからだ。
僕が求めているのは、生き続けるためにポケットに忍ばせておいて、
いつでも発動可能で、不変で、決して裏切らないもの。


 音楽?確かに手助けにはなる。だけれど、無くても生き続ける事は出来る。


 映画?近代の幻。


 それは人によって異なるのかもしれない。
画家の絵筆のような、写真家のカメラのような。
でも僕は画家でも写真家でもない。
僕は、何者だろう?僕はいったい、何者でどこに向かおうとしているのか、
何処まで行こうとしているのか、わからない。


 夢?
夢はいつだって儚かった。
本気で欲しいと思った時にそれは、いつだって手のひらを通り過ぎた。冬に降る雨のように。




 生き続ける理由がわからない。
でも、今一番必要なものなんだ。切実に。
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by haru_ki_0207 | 2005-01-28 00:01 | 雑記  

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